たとえば生理痛(月経痛)。

鍼灸治療では割と良く効いて喜んでいただけるものです。でもたまに例外もありました。


来院されていた32才女性のお話で、うちでは一番手こずったケースのお話です。

月経初日から非常に強い腹痛・吐き気と腰痛と頭痛が3日以上続き、 「そのうち1日は『気が狂いそう』で仕事も何もできない」ということでした。

病院(婦人科)での諸検査はMRIまで受けても原因不明で 精神安定剤を出されたり、ホルモン剤での治療も勧められたそうですが、

これは原因への治療でもないし、副作用があるし、毎日症状がある訳でもないので鎮痛剤で押さえていました。


彼女は中学生の時の初潮以来、生理が楽だったことは一度もなく、「効く」と思う鎮痛剤は無かったそうで

1年前から「加味逍遙散」(更年期障害・生理不順などによく使われる漢方薬)が少し効いて、辛いけど何とか会社を休まずに行っているそうです。

これでも今迄の薬の中で一番効果があった、と言うことです。


彼女への鍼灸治療を施した効果は・・・

症状が1割か2割程度に。」「いつ強く痛み出すか、と心配するうちに終わった。」とのことでした。

翌月は2割程度、その翌月は症状が1割以下になったり。またその翌月は9割位になったり、という難しい例でした。


実は、生理痛は鍼灸治療で良く効くケースのほうが圧倒的に多いのです。

私の治療院での成績は、生理予定日2週間前と2〜3日前にそれぞれ1回ずつ治療して

最もよく効いた場合は1回で100%症状消失。普通は(一番多い例で)治療後最初の月経で40〜80%症状消失。

翌月にも同じタイミングで治療すれば前回よりずっと症状が減る、といった経過になります。


上でお話した彼女のように効果が少ないのは、おそらく子宮内膜に検査で見落とされる位の小さな筋腫または内膜症があったのじゃないかと思います。

子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、時として場所により、このような強い月経痛の原因になるそうです。




ネットで「生理痛がなくなる方法」なる著作物がダウンロード版16800円で売られているそうです。
あまりにもウマい話なので私も読んでみたくなり買ってみようかと思いました。
ところがまた一方、「それを読んだ」という人がブログで感想を書いているのを見つけました。
それによるとその著作物の著者の考えは、「肉食をやめてベジタリアンになる事」なのだそうです。
これが完璧にできれば、生理痛はあっという間に治るそうです。
食べてはいけない食品リストには肉以外にも、卵・牛乳などの乳製品や魚もあり、
その他、アルコール、タバコ、コーヒーなどのカフェイン飲料、ケーキなど砂糖を含む食品・・・
・・・と、「(その著作物は)秘匿性が高いと書いてありますが、そんな大げさな内容ではありません。」とバラしてました。




健康食品よろしく、何でもいろいろ情報が飛び交う時代ですね。

東洋医学が適応し著効を発揮できるのは 「肉体的変性があまりないもの」つまり「働きのトラブル」です。

もちろん、変性のあるものにも治療効果はありますが日数がかかります。


東洋医学は、さぼっている自然治癒力をうまく発揮できるように調節する治療なので 、

壊れた組織でも新陳代謝する部分には自然治癒力で回復させるというすばらしい効果があります。

が、体の組織によります。

さすがに擦り減ってしまった軟骨など、元々再生能力の無い部分を再生させるのはいくらなんでも無理ですし、

弱った筋肉を訓練すること無しに強くすることなどもできません。 魔法じゃないですもの。

そんなことができるなら弱った体からオリンピック選手を育てることもできますよね。

そういったことは将来の再生医学、遺伝子操作医学などに期待しましょう。



関節にかかる筋肉のバランスを鍼灸治療で整えると、軟骨が擦り減ってすき間の無かった関節にもすき間ができてくる場合があります。

軟骨が再生したわけではないかも知れませんが、痛みはずっと楽になります。

それで私は、周辺筋肉を整えることが関節の本当の治療だと20年以上前から主張してきました。


・・・・・話が婦人科から離れてますね。。。

科学や医学の発達は日進月歩と言われていますが、現実に今解決できない悩みと闘っている患者さんにとっては

「医学は遅々として進歩しない」と思うのが実感のようです。


私は「金儲け主義」を一切排して、一人ずつ丁寧に精一杯努力しています。

現代医学で言えば同じ病気・症状でも患者さんの体は十人十色。

だから私の治療も十人十色。効果も十人十色だし私への評価も十人十色です。


どこかの有名治療院・整骨院のように数人のスタッフを入れて治療法をパターン化すれば

私の体も心も経済的にも楽になりますが、性分と言うか、どうも私の中の
「職人気質」がそうはさせてくれません。


上の2枚は著者は加古良玄(整骨医・鍼医)、刑死者を観臓したとあります。 文政2年(1819)著。 昔から東洋でも医学者の中では人体解剖もされていました。

ただ、機能調節を主に考える東洋医学では、死者の遺体を解剖することを重視しなかったんですね。

3枚目は産科書で、鯨のひげを使って胎児を取り出している図です。妊婦さんの表情が落ち着いているのが印象的です。


現代では鍼灸師でも現代医学の知識は要求されます。 養成学校では「基礎」と言いますか、専門書を正確に読んだり その講義を受講し理解する力を身に付けます。

解剖学は、私は学生時代に大阪大学医学部で医学生が実習した後のご遺体をお借りして で実習を受けました。


初め、素手で触るのを気持ち悪がっていますと厳しく叱られまして、いやいや始めてみると案外すぐに慣れてしまうものでした。

1時間も経つと担当の先生に「献体していただいている方への
畏敬の心を。」と戒められたものです。

終了後、皆でお金を集めて花を添えてご遺族の方にお返しするようお願いしました。

同級生の中には帰りにホルモン焼肉を食べに行った豪傑(?)もいたらしいですが私はできませんでした。

また話が脱線しましたね・・・・



女性がよく訴える症状は・・・

1.のぼせ、ほてり、頭痛、肩こり、動悸などの更年期障害、

2.不安や不眠、うつ状態などの精神科障害、

3.月経不順、子宮内膜症、不妊など婦人科疾患の順位と言われています。


女性のデリケートな体は、ホルモンバランス・月経の悩みなど幅広く、「なんとなく体調が悪い」「病院に行っても良いのかわからない」という程度の状況が多いので、

未病(病気になる前の段階)で治療法がある、という東洋医学(鍼・灸)が注目されるようになりました。

しかし東洋医学での体の診察〜診断は現代医学とは違うので、とても説明しにくいのです。

鍼灸院で取り扱う婦人科疾患をあえて病名分類すれば・・・

(月経の関連)月経前期症候群(PMS)、月経困難症(生理痛)、月経周期不順(生理不順)、無月経、排卵障害、黄体機能不全

(不妊症)不妊症 不育症、着床不全、黄体機能不全 、習慣性流産、

(子宮の病気) 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症 、(→による症状緩和)

(加齢に伴う疾患) 更年期障害

(心身疾患) 摂食障害、うつ傾向症状、パニック障害、不安、不眠

(関連症状) 乳腺炎、乳腺症、膀胱炎、起立性調節障害、冷え性、顔・手足のむくみ



このような疾患・症状に鍼灸治療が適応します。
そして誤解の無いように言っておきますが、
東洋医学では西洋医学のような婦人科的な内診はいたしません。



もう一度、・・・鍼灸院で力になれる婦人科関連の症状を大雑把に分類しますと・・・

月経の関連
月経前期症候群(PMS)、月経困難症(生理痛)、月経周期不順(月経不順)、無月経、排卵障害

不妊症
不妊症 不育症、着床不全、黄体機能不全

子宮の病気
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症  → これらは医療と併用されて効果促進

加齢に伴う疾患
更年期障害

心身疾患
摂食障害、うつ傾向症状、パニック障害、不安、不眠

関連症状
冷え性、顔・手足のむくみ、起立性調節障害(思春期の)
乳腺炎・乳腺症、膀胱炎

鍼灸院における診察と治療の実際                       

東洋医学的診断では基本的に全身の状態を観察します。しかし下着の中までの診察は必要ありません。
私のところではTシャツやジャージのようなゆとりのある衣服で来院いただければOKです。
お話を聞かせていただいて、全体の肉付き具合、肌の色、湿乾、弾力などが判断の材料にしますが、婦人科のような
診察はしなくても治療ができますので結構なんです。
肩や背中とおなか(下腹部はおへその下約8cmくらいまで)と腰(おしりの上半分まで)。
それと手足のツボを使って治療します。











資料

一般的な不妊症・不育症について


 結婚し、正常な夫婦関係を結んでいて、二年を過ぎても子供を持つことができない場合これを一般的に不妊症といいます。
(日本では、結婚したカップルの一割の方々が、子供ができないことで悩んでいるといわれています。)
不妊症と一言でいっても、大きく分けてその症状から三通りに分けることができます。
第一に、結婚後一度も妊娠しない原発性不妊症。
第二に、一度は妊娠分娩したものの、その後二年以上妊娠しない、続発性不妊症、
第三は、不育症と呼ばれるもの(妊娠はしても流産や早産、死産などを繰り返し赤ちゃんができない)です。
(ひとり妊娠分娩して、その後流産を繰り返す場合は定義上は不育症と言いません。反復流産、習慣流産と呼びます。)

原因は、男性側、女性側、にそれぞれに原因を追求する必要がありますが、不妊の原因では、子供を宿し出産する女性が主役なので、
女性側が、75%、男性側が、25%位だといわれていますが、近頃は同じ位とも言われています。


先ず、男性側に、問題がある場合、原因としてあげられるのは、無精子症、精子の数が少ない、運動性が悪い、奇形が多いということなどで、
問題はあくまでも精子に限定されます。
それに対して、女性側の原因は多彩で、精子や受精卵の通り道である卵管が狭い、ふさがっている、排卵がない、着床して胎児として育つ場所である
子宮に内膜の不全、炎症や筋腫、子宮頸管の炎症、頸管粘液と精子との不適合などがあります。
単純に妊娠できないという場合には、受精から着床までの、妊娠成立の過程のどこかに支障があるということです。また、不育症の場合には、
着床したあとの体(子宮内)に問題があると考えられるわけです。
基本的に健康であることが大切で、糖尿病・甲状腺機能異常といった内分泌異常は流産の主な原因だそうです。



 しかし、夫婦とも問題がないはずであるにもかかわらず、どうしても子宝に恵まれないという場合があります。
全体のパーセンテージで不妊症といわれる中の20%にも上るそうです。さらに婦人科で治療を続けているにもかかわらず、いっこうに効果がない
というケースも少なくありません。

 西洋医学は、何が原因なのかと言うことを、様々な検査によって見つけだし、それに適応する最良の処置を施すやり方をします。
例えば、ホルモンの分泌が少なければ、ホルモン剤を処方し、排卵がないのであれば、排卵誘発剤を処方します。卵管が狭かったり、
ふさがっている場合には、卵管の通りをよくする治療をします。
また精子と卵子の結合がうまくいかないのであれば、体外受精という方法を選ぶことでしょう。まず、検査によって原因を見つけ、
その原因に対しての治療をする。直接的原因を取り除くというのが治療の大きな特徴です。

       



西洋医学は、そのため先にあげたような具体的な原因があって治療できる場合は、おおむね絶大なる治療効果を発揮します。
しかし、この対処療法は、ある意味では、西洋医学の欠点にもなります。原因不明の場合、または原因が分かっても治療法が無い場合などです。

それに西洋医学では、体を全体像としてとらえない傾向にあり、どうしても子宮を中心とした、子供が実際にはぐくまれる場所のみを治療対象の範囲としてしまう
にもかかわらず、その検査結果にすべてを託し一喜一憂し、ノイローゼ状態にもなりかねません。

さらに加えて、不妊は病気ではないという理由から、保険の適用を受けられない検査・治療が多く、不妊治療のためにかかる費用が莫大であるにもかかわらず、
これで子供が授かれるという確実な保証はありません。
皆様の中にも、お医者さんから、人工授精を進められた方も多いのではないかと思います。
人工授精をする一歩手前までいきましたが、良心のとがめ(?)と経済的理由で踏み切ることができない方も多いと思います。
お金を余りかけず、療法が手頃、尚、絶大な効果の期待できる不妊療法はないでしょうか?







ところで・・・下の画像はれっきとした日本の古い医学書です。 気持ち悪いとお思いの方にはごめんなさい・・・

女性の体の不調について  

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